写真企画展の展示内容紹介、つづき。
ここでは、ケの日について解説いたします。
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※展示内容・紹介&解説 ①(2014/10/08)
ケの日(概要)
日常であるケの日については、その展示方法に頭を悩ませました。「日常」という概念があまりに広範囲に渡っているため、全てを表現しようとすると、散漫な印象になってしまう危険があったからです。
伝えたいトピックが多すぎること(カンボジア概要、地方産業、働く人びとの姿、田舎の暮らし・都会の暮らし、民族、宗教、ごはんetc.)、そして表現材料である写真が充分に揃っていることも、逆にトピックと写真の選定を困難なものにしていました。
一体どこに焦点を絞れば、カンボジアの日常を効果的に表現できるのか ─── 悩み抜いた末に、次のようなコンセプトで写真展示を行なうことにしました。
“ケ”のカンボジアを知る5つのキーワード
① Smiles!
② 水とともに 大地とともに
③ 日常に生きる宗教
④ Unpackagedのリアリティー
⑤ 生きることは食べることだ!
ケの日(詳細)
① Smiles!(左)
展示の導入として、まずは笑顔の写真を配置しました。こちらをドキッとさせるような屈託のないスマイルは、やはりこの国を象徴するもの・最大の魅力のひとつであるからです。また、展示の初めに笑顔と対面させることで、来場者の方をおもてなししたい、リラックスしてもらいたい、という意図もありました。
魅力的な笑顔の写真は、それこそ山ほど撮ってあるので……本当はその全てを紹介して、皆さんに温かい気持ちになっていただきたかったのですが……。それだと今回の写真企画展のコンセプトから大きく外れてしまいます。
また、笑顔の写真で評価点数を稼ぐのは、なんだかズルイような気がしたので、結果的に写真数はかなり絞って展示することにしました。いつか(あまり難しいことを言わないで)笑顔そのものをテーマとした写真展も行なってみたいものです。
② 水とともに 大地とともに(右)
カンボジアの地方産業、地方の暮らし、働く人びとの様子は、私が皆さんに最もお伝えしたいことのひとつであります。
南部のビーチリゾート、塩田、高原、漁業の様子。トンレサップ川やメコン河流域の水上集落、バンブーブリッジ、乾季と雨季の水位変化。山岳地帯の少数民族の暮らし、宝石採掘、滝、胡椒園の様子。その他、機織り、陶芸、ゴム農園、田んぼと畑、ヤシ砂糖やヤシ酒、等々。
1年間に渡る滞在(2008-2009年)、カンボジア全土パトロール(2003年3週間、2004年2週間)、その他中期滞在(3ヶ月)と多数の短期旅行の成果もあって、写真はこれまた山ほど揃っているのです。
このあまりに膨大な材料を前に、断腸の思いで削ぎに削いで、農業、漁業、陶芸、そしてメコン河の水位変化を主な写真として選定し、「水とともに、大地とともに」という言葉で、その暮らしぶりを表現しました。自然と調和した暮らしが、この国では未だ息づいているのです。
③ 日常に生きる宗教(左)
カンボジアに暮らす人びとにとって、神に感謝し祈ることは、決して年に数度の特別行事ではない ─── このこともまた、私が声を大にして伝えたいことのひとつであります(私のカンボジアの旅テーマには、ムスリムの追っかけとモスク訪問が含まれています。)
本当は「異教徒たちのカンボジア─民族と宗教のはざまで─」「ムスリム、仏教国カンボジアに生きる」などのイスラームに絞ったテーマでも十分に展示ができるくらいの写真点数はあるのですが、、、もちろん今回はお預けです。
展示経験者の方のある言葉、「写真の枚数が増えるほど、一枚の写真の印象は薄くなる」という注意に忠実に、ここはごく少ない写真数で臨みました。
④ Unpackagedのリアリティー
Unpackaged(アンパッケージド)のリアリティー、むき出しの現実。これは現代カンボジアを象徴するものとして感覚的に理解し、写真として表現することは以前からできていたのですが……今年(2014年)のカンボジア・パトロールでの撮影と、Facebookやブログでの報告を通して、文章としても表現できるようになった概念であります。
これについては、思い入れが強いので。。。別記事で解説したいと思います。
「ムズカシイことは、もうおしまい。人間の基本は、やっぱり食べることでしょ?それはニッポンでも、カンボジアでも同じこと。食材や料理こそ多少異なれども、生きることの根幹として、食べることは揺るぎなく存在しているのだ。」
上記のキャプションの言葉が、このトピックのすべてです。ただし写真は料理のバラエティーや象徴度合いよりも、単純に配置した時の見栄えや色合いを重視して選定してしまいました。市場の様子、料理の様子の写真も多数あるので……このトピックもまた、いつか大きく取り扱ってみたいものです。
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以上、野暮かもしれませんが、2記事に渡り展示内容の紹介と解説を行ないました。パネルやグッズは保管してありますし、各地で巡回展やミニ個展を行なっていきたいと考えておりますので……ご興味を持たれた方は、お気軽にご連絡ください^^