講師&イントラ向けの陰ヨガ解説。ティーチャートレーニング時にまとめたものなので、あまり面白味のない、マジメな文章になっています。生徒向けのやわらか解説については、いつか作成&公開したいと思います。
陰ヨガとは何か ~定義と特徴~
陰ヨガとは、陰のメソッド(方法)を用いて、陰のアーサナを行うヨガのことである。
その目的は、関節まわりの柔軟性向上、および気の回復・滋養・蓄積であり、ハタヨガなどの陽ヨガとは、方法も目的も異なるヨガである。
また、主な特徴として、次の3点が挙げられる。
これらの特徴から推察できるよう、陰ヨガは静的なヨガであるため、より内観が深まりやすい。自分自身と向き合う時間を持つ、瞑想的なヨガであるともいえる。
陰ヨガのより深い理解のために、他のヨガとの比較を用いて、陰ヨガの全体像をつかんでいく。
ハタヨガ(陽ヨガ)との違い
“陽”とは“陰”の対極にあるものであり、その逆もまた真である。そのためヨガにおいても、両者は全く異なるアプローチを用い、異なる効果を発揮している。
まず、外見的に分かりやすい違いとして、ポーズの取り方が挙げられる。
「立って動く」陽ヨガに対し、陰ヨガは「座って静止」している。ホールドの長さも、陰ヨガの方が断然長い。
プラクティスに取り組む者が、ヨガ初心者である場合、まずこの違いを理解することが大切であろう。
これを踏まえた上で注目していきたいのが、ターゲット部位とエネルギーの方向性である。
陽ヨガは筋肉をターゲットとし、ダイナミックな動きの中で緊張と弛緩を繰り返すことによって、そこに的確な刺激を与え、筋力を向上させることを目的としている。
また、陽は上昇するエネルギーであるため、プラクティスの際は上への意識を大切にしており、結果として爽快感や活力に満ちた感覚を得やすい。
一方の陰ヨガは、関節まわりの結合組織を主なターゲットにし、自重と時間をかけて穏やかな刺激を与え、柔軟性を向上させることを目的としている。
筋肉の緊張はこれを阻害するため推奨されない。
また、陰のエネルギー方向は下であるため、骨盤を大地に根付かせるような、下降する意識を大切にしており、そのため落ち着きやリラックスの効果が得やすいといわれている。
陽ヨガのピジョンポーズと陰ヨガのスワンポーズのように、両者のヨガポーズには、外見的には同じように見えるポーズもある。
しかし、このターゲットとエネルギー方向が異なるため、結果的に得られる効果も異なる。
すなわち前提としての、ポーズをとる目的そのもの、さらにはヨガのためのメソッドそのものが異なっているのである。
目的と方法の相違。これこそが陽ヨガと陰ヨガの違いなのである。
リストラティブヨガとの違い
ヨガの種類を「運動量」の点から見た場合、陰ヨガとリストラティブヨガは同じ種類のヨガとしてカテゴライズされることが多い。
とりわけスタジオのレッスン概要では、「動きが少ない」「リラックス」などのキーワードとともに、両者が紹介されている。
また、レッスン後に得られる効果も、類似していると感じる人もいるだろう。
両者の決定的な違いは、第一にターゲットである。
リストラティブヨガは、他の陽ヨガと同じく「筋肉がターゲット」という領域を出てはいない。
穏やかな圧迫と伸展を繰り返すことで、積極的なリラックスの姿勢を導き、それを保持・安定させるためにプロップスを利用する。
あくまで筋肉を休めることに主眼を置き、その休息によって心身回復を狙ったヨガなのである。
一方の陰ヨガは、筋肉をターゲットにはしていない。
筋肉はすでに弛緩した状態であること(または弛緩するよう意識すること)が、陰ヨガプラクティスの大前提である。
そして第二に、「プラクティスが陰であるか否か」という違いがある。
陰陽思想の点から見ると、リストラティブヨガは、陽の気を穏やかにさせてはいるが、陰を深めてはいない、いわば「静かな陽のプラクティス」になっている。
一方の陰ヨガは、「陰を深める」「陰の気をチャージする」という、この一点に集中してプラクティスを行なっている。そしてプラクティスの背景には中医学の知識、陰陽思想、経絡が存在する。
リストラティブは筋力の休息による心身回復を目的としているが、陰ヨガはこれらの陰陽概念に基づき、経絡を活性化させ、陰を深め、その気をチャージすることによって、全体的なバランスの回復(陰陽バランスの調整)を狙ったヨガなのである。
すなわち、ターゲットと“陰”の有無。これらがリストラティブと陰ヨガの相違となって現われているのである。
まとめ
以上が、陰ヨガの定義と特徴、および他のヨガとの相違点である。
陽の気を高めるための陽ヨガ、陰の気を蓄積するため陰ヨガ。
この対極にある目的達成のため、それぞれのヨガにおいて異なる方法(メソッド)を用いており、そのアプローチの違いが、ターゲット部位・エネルギー方向・アーサナの取り方・効果の違いとなって現れているのである。
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